

なんとも奇妙な形の「耳うどん」。
栃木県佐野市仙波町周辺に伝わる郷土料理で、古くからお正月の三が日に食べられてきた正月料理のひとつだ。
この耳うどんの「耳の形」は「鬼の耳」になぞらえていて、「正月に鬼の耳を食べてしまえば、その年は悪いこともおこらず、無病息災で暮らせる」とか、「耳を食べてしまえば、他人の悪口が聞こえなくなるので、近所付き合いが円満に1年過ごせる」などの、厄除け的な言い伝えとともに食べられてきた。

なるほど、見れば見るほど確かに耳っぽい・・・かも。
作り方は、小麦粉をよく捏ねて寝かせたあと、薄く伸ばしていく。うどんならばここで細長く麺状に切っていくが、耳うどんは7cm×5cmくらいの長方形に切り分ける。まず中心を横半分に折り、次に両端を着物の合わせ方と同じように重ねてとめて、耳の形に似せるそう。ダシには鰹節を使い、醤油とみりんで味を整えるところは普通の関東風うどんとあまり変わらない。具材には野菜やキノコに鶏肉、耳うどんというのが一般的。
細かい手作業で耳うどんを作るのは時間もかかってめんどうだが、「お正月には手の込んだごちそうをみんなで食べて、1年の幸運を願おう! 」というポジティブな気持ちが感じられて、私は結構好きだ。このあたりの家庭では、お正月の来客用にもっと豪華に作ることもあるんだとか。

野村屋本店のものは鶏肉、伊達巻き、蒲鉾、長ネギ、ニンジン、椎茸、ワカメ、カニかま、ナルトに耳うどんという贅沢なバージョン。おせち料理にある具が多く、耳うどんがお雑煮のように扱われてきた歴史を感じられる。耳うどんの食感は、ワンタンほど皮も薄くなく、うどんほどつるっと感もなく、どことなく「すいとん」のもっちりした食感に似ている。小麦のほんのりとした甘みと醤油ベースのおつゆがよく合っていて、なかなか食べごたえあり。佐野に行かれたら、佐野ラーメンもいいが、私は「耳うどん」をおすすめしたいと思う。幸運な1年を願って。
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●野村屋本店
栃木県佐野市相生町2819
TEL:0283-22-0396

フタの裏には「耳うどん」の文字!
きっと耳うどん専用の器なんでしょうね。